高度救命救急センター

高度救命救急センター 後期研修要項

定員

仙台市内をはじめ県内各地域からの主として3次救急患者を受け入れている。高度救命救急センターは広範囲熱傷、指肢切断、重症薬物中毒をも対象とすることを要件づけられており、他の救急医療機関と対象傷病を棲み分けしつつ、救急専従医と各診療科医師との連携による高度先進的救急医療を推進している。

スタッフ(平成24年8月現在)

教授1名、講師1名、助教11名、助手3名、兼任3名(助教3名)、大学院生1名、研修医数名。

週間スケジュール

  • 申し送り:毎朝午前8時15分〜9時30分頃、毎夕午後4時45分〜6時頃
  • 教授回診:毎週金曜日 申し送り終了後
  • 抄読会:月曜日 午後6時30分〜7時
  • 業務カンファレンス:月曜日 午後7時〜8時頃
  • 症例カンファレンス(M & Mカンファ;問題症例について医師・看護師合同で検討会を行っています):
    第2・4火曜日 午後6時〜7時
  • スタッフ勉強会(研修医・看護師・薬剤師対象):午後6時〜8時(月2回程度)
  • 研修医講義:午後1時〜2時(月5回程度)(救急に関する基礎的な内容についてスタッフから講義があります)
  • 器機備品講習会:午後6時〜7時(月2〜3回程度)
  • シミュレーション実習:午後7時〜9時(週1回火曜日あるいは木曜日)

主たる診療対象疾患

重症熱傷、心肺機能停止、急性薬物中毒、多発外傷(交通外傷・墜落外傷)、急性腹症、原因不明のショック・意識障害など
その他、複数科・特定科と併診

後期研修プログラム

高度救命救急センター基本コース

大学病院にてスタッフドクターとして勤務あるいは協力病院に出向。日常の臨床診療、医学部・看護学部・消防学校・救急救命士養成専門学校等の学生教育の傍ら、各自の専門分野を生かした基礎研究・臨床研究に携わり、学会発表・論文投稿を行う。論文博士取得も可能。

  1. 高度救命救急センターでは救急医療・災害医療の専門知識・技術の習得以外に、重症患者に対する危機管理能力を有する救急科専門医の養成を主眼とする。
  2. 救急専従歴3年で救急科専門医申請資格が得られる。
  3. 救急医療に関連した循環器内科・一般外科・心臓血管外科・脳神経外科・整形外科・麻酔科など、各自希望するsubspecialtyの研修も可能。
  4. Subspecialtyの研修のため希望する他診療科に3~5年間配属され各学会専門医を取得することも可能。

救急医学分野大学院進学コース

高度救命救急センターに配属された臨床患者/動物モデルを対象として、あるいは、基礎研究室等に配属され救急医学に関連した研究を行い、4年後に博士号を取得する。

参考

勤務体制、兼業について

40 時間/週の2交代制(日勤、準夜+深夜)の勤務体系をとる。兼業は40時間/週の勤務外で許可される。

研修協力病院リスト

仙台市立病院、国立病院機構仙台医療センター、大崎市民病院、石巻赤十字病院、みやぎ県南中核病院、その他全国有名救急医療機関、仙台オープン病院

専門医取得について

日本救急医学会救急科専門医・指導医、日本熱傷学会専門医、日本外傷専門医、日本集中治療医学会専門医

連絡先

  • 郵送:〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1
    TEL:022-717-7489
    FAX:022-717-7492
    E-mail:information*emergency-medicine.med.tohoku.ac.jp
    メールを送信する際は、*を@に変換してください。
東北大学病院高度救命救急センター ご紹介(平成24年8月)

私たちが目指し、行おうとしている救急医療・救急医学

わたくしども、救急医療・救急医学に携わるメンバーが常に目指すものは、目の前にいる患者さんにとって考えられる最善の医療を提供することです。そして、現在に限らず、将来の救急医療・医学においても最善たり得る医療を模索し続けることが、これを支えるものだと思います。
現在考えられる最善の医療を展開するためには、患者さんの転帰や病態の改善につながりうる診断・治療法に関して、世界に視野を広げて常に情報を入手し、吟味して、目の前の患者さんに適切に提供します。それでも十分な改善が得られない、助けることができない患者さんが少なくないのが救急医療です。このような病態の患者さんに対しても、患者・家族の方にとってもっともよいと考えられる診療をするとともに、将来につながる新たな病態の解明、診断・治療法を探る目と姿勢と心を持って診療を行います。

救急医療はシステムとして、チームとして動く

救急医療は、医療施設で患者さんの診療にあたっている医師や看護師のみによって構成されるものではありません。

  1. 病院前救護を支える救急救命士、救急隊員
  2. 組織として、チームとして機能的に活動すべき医療機関内の医師、ナース、コメディカルスタッフなどによる診療チーム
  3. 社会復帰のためのリハビリテーション
  4. これらをつなぐスタッフ

などによるシステムとして機能しています。誰が上でも下でもなく、すべてがこのシステムを構成するメンバーです。そして、救急医療は地域・施設、あるいは状況により、その役割と求められるものが異なりますが、私どもは、施設内・施設外の協力体制整備、医療資源を最大限有効に生かし、施設・組織の総力としての救急医療を提供することを心がけています。

救急の専門医として、“おもしろい”と感じ、多くの仲間とともに

救急科は、内科や外科などと並ぶ基本領域診療科として、現在の医療の第一線において重要な役割を担っています。すべての救急患者に対する重症度・緊急度をもとにしたトリアージと初期診療、重症病態における集中治療、とくに既存の専門診療科の枠におさまらない病態の治療である多発外傷や中毒、重症敗血症、重症熱傷、心肺停止状態からの蘇生と心停止後症候群などの病態の治療において、我々はエキスパートです。
より多くの救急患者さんを受け入れ、科学的な目をもって病態を捉える姿勢を徹底します。単に、トリアージする、診断・治療することに止めることなく、救急の現場で臨床を行っている医師を中心としたスタッフが、“救急医療・救急医学はおもしろい”と感じながら、生き生きと仕事をしていることがとても大切であり、救急医学をおもしろいと感じて仕事をできる仲間をひとりでも多く集めて、大きく展開したいと考えています。
そして、自分たちから新しい医療を創造・展開すべく常に意識します。ひとりひとりのスタッフが有する能力を高いレベルで発揮できるよう引き出していきます。

知識・理論・技術に裏付けられた大胆かつ冷静・繊細な救急医療を

  1. 診断と治療が同時に進行し、大胆な判断を必要とする救急初療
  2. 冷静な頭脳で、繊細な判断の下に緻密な治療・管理を行う集中治療

このような相反する側面を有する救命救急医療は、正確な知識と理論、そして技術が支えるものであり、大胆な判断と行動のための根拠となるものです。救急医療に適切に対処しうる能力を有し、世界を目指す科学者としての心と、患者さんのことを自分のこととして感じる心を併せ持ち、我が国の救急医学をリードする救急医療と救急医学を展開したいと考えています。