泌尿器科

泌尿器科|初期研修要項

指導体制

  • 基本的には決められた指導医が1対1で指導するが、状況に応じて他の指導医からも指導を受けられる体制としている。

研修期間

  • 4〜12週(1~3ヶ月)が望ましい。

研修内容および方法・手技

参加する活動

病棟研修

  • 病棟に配属し、2~3名の指導医のもとに、病棟の受け持ち患者約10~15人の主治医となり、入院患者の病歴聴取、診察を行う。
  • 指導医とともに、患者の検査計画をディスカッションする。
  • 検査計画に基づいて検査を施行する。検査に必要な手技は、指導医のもとに習得する。
  • 検査結果を分析し、指導医とともに治療計画を立てる。
  • 手術に際しては、指導医の管理の下、基本的な手技から段階的に習得する。
  • カンファレンスにて受け持ち患者のプレゼンテーションを行う。

外来研修

  • 定期的に外来研修を行う。指導医の管理の下で、外来患者の病歴を聴取し、診察を行い、患者の検査計画を立てる。
  • 指導医のもと患者の腹部エコーを行い、所見をとる。
  • 必要に応じて、指導医のもと患者の膀胱鏡を行い、所見をとる。
  • 超音波ガイド下前立腺生検を、初期は指導医のもとに行うが、慣れたら一人で行えるようにする。

参加する活動内容

日常活動

  • 月曜日の朝7時30分から英文誌 J Urol 抄読会
  • 火曜日の朝7時30分から放射線科との合同カンファレンス
  • 水曜日の朝7時30分から症例検討
  • 木曜日の朝8時00分から病理診断検討会
  • 金曜日の朝7時30分から AUA Update 抄読会

学会活動

  • 4月の日本泌尿器科学会総会、5月の米国泌尿器科学会(AUA)、春・秋の日本泌尿器科学会東北地方会、秋の日本泌尿器科学会東部総会、その他、各種学会(癌学会、癌治療学会、排尿機能学会、性機能学会など)、各種研究会 以上のいくつかへの参加と発表を行う。

研修到達目標

基本手技

一般目標

泌尿器疾患の正確な診断と適切な治療を行うためにその基本的手技を修得する。

行動目標

  1. 各種症状・徴候について理解し、適切な問診ができる。
    疼痛発作、排尿の異常(排尿痛、頻尿、排尿困難、尿失禁、尿意切迫、尿閉など)、尿量の異常(多尿、乏尿、無尿)、尿性状の異常(血尿、膿尿、混濁尿など)、腫瘤(腹部、陰嚢部)、男性不妊、性機能の異常、尿路性器外傷
  2. 基本的診察法に習熟する。
    腎腹部の診察、男性外陰部の診察、女性外陰部の診察、直腸診など。
  3. 指導医の下で基本的検査法を行い、所見を述べることができる。
    超音波検査、尿路内視鏡検査、ウロダイナミクス、神経学的検査、前立腺生検、画像検査(CT、MRI、尿路造影検査)、など。
  4. 輸液管理を行える。酸塩基平衡について理解できる。
    水・電解質バランスの管理ができる。動脈血ガス分析の結果を理解し、適切に対処できる。
処置・指導

一般目標

泌尿器疾患の主にプライマリケアに必要な基本的診療能力を修得する。

行動目標

  1. 導尿、各種カテーテル管理(尿道、腎瘻、尿管、膀胱瘻)
    1. 導尿が安全にできる(マンドリン使用下を含む)。
    2. 自己導尿の意義を理解し、指導できる。
    3. 尿閉の処置が安全にできる(恥骨上穿刺を含む)。
    4. 尿道留置カテーテルの適切な管理ができる。
    5. 尿路変向後のストーマ、カテーテル管理ができる。
  2. 救急疾患の診断・処置
    1. 急性尿閉、慢性尿閉の病態の違いを理解し、安全に処置、管理(輸液の必要性の有無を含む)ができる。
    2. 腰背部疼痛発作の適切な診断(鑑別診断を含む)・処置ができる。
    3. 上部尿路閉塞による腎後性腎不全の診断、処置(腎瘻造設術・輸液管理を含む)ができる。
    4. 急性陰嚢症の病態を理解し、指導医の下で適切に対処できる。
  3. 手術
    1. 指導医の下で陰嚢内容の手術ができる(去勢術、高位精巣摘出術など)。
    2. 指導医の下で腎瘻造設術ができる。
    3. 一人で超音波ガイド下前立腺生検ができる。
  4. 指導
    1. 腎不全・透析患者に対する食事指導ができる。
疾患の理解

一般目標

代表的な泌尿器疾患の病態について概略を習得し、その重要性と特殊性を理解する。

行動目標

以下の代表的疾患についてその病態の概略を理解する。

  1. 炎症性疾患
    腎・腎盂:腎膿瘍、膿腎症、急性腎盂腎炎
    膀胱:単純性および複雑性膀胱炎、間質性膀胱炎、放射線膀胱炎、出血性膀胱炎
    前立腺:急性前立腺炎、慢性前立腺炎
    精巣・精巣上体:精巣炎、精巣上体炎
  2. 尿路結石症(上部尿路結石、膀胱結石)
  3. 腫瘍性疾患(腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、精巣癌)
  4. 副腎腫瘍(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫)
  5. 上部尿路閉塞性疾患(先天性水腎症、結石、尿路腫瘍、尿路外腫瘍、後腹膜線維症)
  6. 下部尿路機能障害(神経因性膀胱、過活動膀胱、低活動膀胱、間質性膀胱炎)
  7. 下部尿路閉塞性疾患(前立腺肥大症、尿道狭窄、神経因性膀胱)
  8. 性行為感染症(淋疾、クラミジア感染症)
  9. 先天異常(停留精巣、精巣水瘤、包茎、膀胱尿管逆流症、嚢胞腎、尿道下裂、など)
  10. 尿路性器外傷(腎外傷、膀胱外傷、尿道外傷、陰茎折症)
  11. 急性腎不全(腎前性、腎性、腎後性)、慢性腎不全とそれらの原因
  12. 男子性機能障害、男子不妊症
  13. 陰茎の疾患(尿道下裂、陰茎癌、ペロニー氏病、持続勃起症など)
医療記録

一般目標

泌尿器疾患に対して理解を深め、必要事項を医療記録に正確に記載できる能力を習得する。

行動目標

  1. 代表的疾患について正確に病歴が記載できる。
  2. 代表的疾患について身体所見が記載できる。
  3. 画像、内視鏡などの検査結果の記載ができる。
  4. 症状・経過の記載ができる。
  5. 手術所見の記載ができる。
  6. 検査・治療行為に関するインフォームドコンセントの内容を記載できる。
  7. 紹介状、依頼状を適切に書くことができる。
  8. 診断書の種類と内容を理解できる。
具体的目標数字
  • 病棟主治医として診察、診断、治療 (80人以上)
  • 外来患者の病歴聴取、診察、検査計画 (50人以上)
  • 腹部エコー (50人以上)
  • 膀胱鏡 (20人以上)
  • 超音波ガイド下前立腺生検 (30人以上)
  • 経皮的腎瘻造設術 (5人以上)
  • 陰嚢内容の手術 (5人以上)
  • 開放手術における助手 (20人以上)
  • 腹腔鏡手術における助手 (20人以上)
  • 内視鏡手術における助手 (10人以上)

研修スケジュール

午前 抄読会
→病棟回診
→手術 / 外来
カンファ
→病棟回診
→手術
カンファ
→手術/外来
カンファ
→病棟回診
→手術/前立腺生検
抄読会→病棟回診
午後 手術 / 病棟回診 手術 / 検査
→病棟回診
手術/前立腺生検 / 検査
→病棟回診
手術 / 前立腺生検/
尿路結石破砕
→病棟回診
検査→病棟回診

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